身体の硬い人が知らないストレッチのコツ【8つの部位別プログラム】
「身体が硬いのは昔からだから諦めた」
「ストレッチをしても一向に柔らかくならないからやりたくない」
ストレッチに対してネガティブな印象があるのであれば、今日で変わります。
全く何もしなければ身体が変わらないのも当たり前ですが、もしあなたがストレッチを頑張っているのに変化が無いという経験があるのであれば、少しやり方や意識を見直してみたほうが良いでしょう。
ストレッチは奥深く、ただ何となく伸ばすだけでは効果が現れないだけでなく逆に身体を硬くしてしまう可能性だってあるのです。
そこで今回は、身体の硬い人が意識すべきストレッチのコツとポイントについて、部位別に詳しく見ていきましょう。
目次
第1章【柔軟性は生まれつき?】
そもそも柔軟性は生まれつきのものだと、諦めてはなりません。
確かに生活習慣や加齢による変化があるのは間違いありませんが、全く太刀打ちできないほどの変化を与えるという訳でもないのです。
つまり諦める必要は無いのです。
むしろストレッチを日常的に取り組むことにより、若い頃より身体が柔らかくなったご年配の方はたくさんいらっしゃいます。
それでは次に、柔軟性が低下しやすい2つの生活習慣をご紹介します。
Ⅰ.運動不足
柔軟性が低下する原因を整理していくと、やはり運動不足は大きな要因となりそうです。
筋肉の代表的な特徴に【使わなければ衰える】というものがあります。
身体を支える筋肉は、更に細かい筋線維と呼ばれる細胞の束で構成されています。この細胞一つ一つが伸び縮みを繰り返すことで筋肉は収縮し、関節を曲げたり伸ばしたりしています。
しかし運動不足によって日常的に関節を大きく動かす必要が無い場合、筋線維は動く必要が無くなります。伸び縮みする機会を失った筋肉の細胞は次第に痩せて細くなり、更に動く幅が狭まることによって柔軟性までも失われてしまうという訳です。
Ⅱ.姿勢が悪い
これは先ほどご説明した運動不足と関係がありますが、同じ姿勢で長時間留まった状態をイメージしてもらうと良いでしょう。
例えばイスに座っている時、猫背のような姿勢となっていませんか?
この体勢ではほとんどの場合、骨盤が後ろに傾いてしまいます。
これにより太もも裏にある筋肉(ハムストリング)は伸びる必要が無くなってしまうのです。
姿勢が悪くなる原因にはいくつかあり、身体的な問題と環境的な問題が考えられます。
身体的問題は体幹筋力の低下や股関節の可動域などであり、環境的問題はイスや机の高さなどが挙げられます。
∇デスクワーカー必見!正しい座り方【参照記事】
わかりやすい例としてハムストリングの柔軟性低下を挙げていますが、肩まわりなど、全身のいかなる部位も同様の変化が現れる可能性があるのです。
Ⅲ.ストレッチはいつから始めても大丈夫
結局のところ、ストレッチはいつ始めても遅すぎるということは決してありません。
パーソナルトレーニングを受け始められた50・60代のお客様は男女問わず身体の変化を実感してくださっています。そして、皆口を揃えて「もっと早くチャレンジすれば良かった」と少し後悔されています。
つまり今の時点で気付いたあなたは非常に幸運です。
年齢に関係なく、今すぐ始める必要性を知ることができたのですからね。
しかしこれはあくまで専門知識を持ったパーソナルトレーナーによって施されるペアストレッチの話。
それでは次に自分でストレッチをする前に知っておきたい注意点についてご紹介しましょう。
第2章【力ずくのストレッチはNG】
基本的にストレッチを避けてきた方の大半は、ストレッチが痛いものと認識しているからだと実感しています。
痛いことや我慢することはデメリットだらけ。ストレッチの効果を妨げてしまうのです。
身体が硬いと、例えば長座体前屈では何とかつま先をタッチしようとして反動をつけるようにストレッチを行っている方を時々見かけます。これは確実にNGで、柔軟性が向上するどころか筋肉を傷めてしまう可能性があります。
その理由が筋紡錘です。
筋肉の伸び縮みを担う筋線維の中にはその伸び具合を感知する筋紡錘が存在しており、筋肉が瞬間的に伸びると筋紡錘が反応し、反射的にその筋肉を収縮させてしまうのです。
つまり反動をつけたり、後ろから一気にグッと押されるようなストレッチを行っていては、何回やっても筋肉は収縮し、柔らかくなることはありません。
力ずくでのストレッチは今すぐやめるべきなのです。
第3章【絶対に覚えたい部位別ストレッチ】
それでは効果的なストレッチの方法を実践する前に、意識して欲しいストレッチの基本3つを確認しておきましょう。
①ゆっくり
②正しい姿勢で
③反動をつけない
この3つに注意しながら、さっそくストレッチを行っていきましょう。
Ⅰ.肩まわりのストレッチ
肩まわりの筋肉にはいくつかあり、今回は大胸筋・広背筋・上腕二頭筋、そして上腕三頭筋にポイントを絞って実践していきましょう。
大胸筋ストレッチ
∇大胸筋とは
肋骨前面にべったりと付着する筋肉で、バストの土台の役割を始め、腕を内側に寄せる作用があります。そして巻き肩姿勢では非常に硬くなりやすく、肩まわりをスッキリさせるためにはストレッチを欠かすことはできません。
呼吸に合わせ、息を大きく吐きながら腕を広げて胸を開くことで、肋骨の動きに合わせて効率よくストレッチすることができます。
□方法
①横向きになり、膝と股関節を90°に曲げて下半身を固定し、両手を伸ばして揃えておきます。
②下半身が動かないように注意し、息を吐きながら大きく胸を広げていきましょう。
これを左右10回ずつ繰り返していきましょう。
※この時肩がすくまないよう、大きな弧を描くイメージを持つと大胸筋をしっかりストレッチすることができます。
広背筋・上腕三頭筋ストレッチ
∇広背筋とは
骨盤や背骨、そして脇の下を通って腕の付け根に付着する広背筋は、背中を構成する大きな筋肉の一つです。
∇上腕三頭筋とは
肩の後面から肘を繋ぐ上腕三頭筋は、肘を伸ばすだけでなく腕を後方に引く動きにも関与しています。普段から腕・肩をあまり動かさない場合は硬くなりやすく、腕が上がりにくくなることもあります。
□方法
①イスの前に膝を付き、図のように肘を座面に乗せましょう。
※この時イスが動かないように注意しましょう。
②頭を下に入れ込むように上体を倒していき、両手で肩甲骨の間に触れましょう。
これを15秒ほどキープしていきます。
上腕二頭筋ストレッチ
∇上腕二頭筋とは
肩の前面から肘にかけて繋ぐ筋肉で、肘を曲げたり腕を上げる動きなどを担っています。
デスクワークなどで巻き肩や猫背傾向にあると硬くなりやすい筋肉です。
□方法
①壁に向かって正対し、壁に手を付きます。この時、指を下に向けておきましょう。
※手を付ける位置は肩よりも少し下。こうすることで肩に力が入ってすくむ動きを防ぐことができます。
②手を壁から離さないように、身体を反転させていきます。前腕から上腕に掛けてストレッチ感が出たところで15秒キープしましょう。(反対側も同様)
※手のひらを少し壁におしつけることで、よりストレッチ強度を高めることができます。
Ⅱ.お尻のストレッチ
お尻まわり、つまり股関節の周囲にある筋肉の中でも、特に覚えておきたい大殿筋とそのストレッチ方法についてご紹介致します。
大殿筋ストレッチ
∇大殿筋とは
人体の中で非常に大きな筋肉の一つで、その分消費するエネルギーが多いことが特徴です。座る姿勢への影響が大きく、柔軟性が低下すると腰痛や膝痛へ発展することがあります。
□方法
①体育座りの姿勢を取り、片足を反対側の膝に掛けるようにしましょう。
※この時腰を丸めないよう、背筋を伸ばしておきましょう。
②膝に足を掛けた状態のまま、足を身体に近づけるようにすることで大殿筋のストレッチ感を調整することができます。これを左右15秒ずつ行っていきましょう。
Ⅲ.太ももまわりのストレッチ
太ももは前後、そして内側を大きな筋肉で囲われており、それぞれ役割が異なります。代表的な筋肉は大腿四頭筋、ハムストリング、そして内転筋であり、そのストレッチ方法について解説していきます。
大腿四頭筋ストレッチ
∇大腿四頭筋とは
大腿四頭筋とはその名の通り、4つに枝分かれした筋肉が束となって構成されています。太ももの前面を股関節から膝にかけて覆っており、膝を伸ばしたり、ももを引き上げる動きを担っています。ヒールを履いたり、長時間の歩行で普段から太ももが張る感覚がある方は、特にストレッチが必要な部位となります。
□方法
①地面に座ったまま、片足を畳むようにお尻に引き付けておきます。この時両手は後方に付けて身体を支えます。
※足関節や膝関節に痛みや違和感を感じる方は注意しましょう。
②そのまま真っ直ぐ後方に身体を倒していきましょう。太もも前にストレッチ感が出たところで止め、左右それぞれ15秒ほどキープしましょう。
※余裕があれば、肘を地面につける所まで身体を後方に倒していきましょう。
ハムストリングストレッチ
∇ハムストリングとは
坐骨(骨盤の一部)から膝裏を通過するように伸びるハムストリングは、内側(半腱様筋・半膜様筋)と外側(大腿二頭筋)に分けることができます。主に膝を曲げたり、足を後方へ伸ばす動きを担います。前述のように、骨盤が後傾するような猫背姿勢では坐骨と膝との距離が狭まり、筋肉の柔軟性は著しく低下してしまいます。
□方法
①地面に座ったまま片足を畳み、反対側の足を真っ直ぐ伸ばしておきます。
※この時背筋は伸ばし、骨盤を立てるように意識しましょう。
②背筋を伸ばしたまま、上半身をゆっくり浅く前方に倒していきます。これを左右15秒ずつキープしていきましょう。
※ハムストリングはストレッチ痛が出やすい部分のため、膝を軽く曲げた状態から始めていただいても構いません。
内転筋ストレッチ
∇内転筋とは
内転筋に分類される筋肉は多数存在するため、今回は太もも内側に存在する筋肉を内転筋と表記致します。X脚などで硬くなった内転筋は股関節を曲げる動きを変化させ、太もも(大腿四頭筋)を中心とした運動パターンへと変化させてしまいます。つまり、脚痩せには、内転筋の柔軟性は欠かすことができません。
□方法
①四つ這いの状態から片足を側方に伸ばします。
②腰が丸まらないよう、背筋を伸ばしながら後方へ身体を移動させていきます。内転筋にストレッチ感が出たところで止め、左右それぞれ15秒キープしましょう。
※外側に出した足のつま先は正面に向けておきましょう。
Ⅳ.ふくらはぎのストレッチ
ふくらはぎには下腿三頭筋と呼ばれる筋肉の束が存在しています。デスクワークや立ち仕事で疲労が溜まりやすい下腿三頭筋のストレッチ方法をご紹介しましょう。
下腿三頭筋ストレッチ
∇下腿三頭筋とは
“ふくらはぎ”と呼ばれる部分にある筋肉は下腿三頭筋と呼ばれています。この下腿三頭筋は腓腹筋とヒラメ筋で構成され、その2つの筋肉が束となってアキレス腱へと繋がっています。下腿三頭筋は第二の心臓とも呼ばれ、全身の血液循環に大きな影響を与えることから、むくみや下半身太り改善のためにも、ストレッチを行っていきましょう。
□方法
①両手を肩幅程度に開いた位置につけ、片足を反対側の足に掛けるようにしましょう。
②足を掛けたまま腰を高く上げるように体重を足に掛け、ふくらはぎをゆっくり伸ばしていきましょう。これを左右15秒ずつ行っていきましょう。
第4章【ストレッチはいつやるべき?】
本コラムにたどり着いたあなたは、身体の硬さを何とか改善したい一心で読み進めていただいたのではないでしょうか。
そうなれば部位別のストレッチ方法が知りたいのは勿論のこと次に気になるポイントはいつやるべきなのか、ですよね?
結論から言うと、【①ゆっくり②正しい姿勢で③反動をつけない】ようにストレッチを毎日行うことを最優先してください。
例えば毎日決まった時間にストレッチをしようと決めていた場合、何かの都合で時間を過ぎてしまった時のモチベーションは一気に下がってしまいます。
過去に目標を定めたけど途中挫折したことがある方は特に、意気込まないほうが良いです。
ストレッチを毎日朝晩行うという最大限の達成目標とは別に、お風呂に入っている時でも、テレビを見ながらでも、ベッドで寝転がりながらでもとにかく続けるという最低限の達成目標も設定しておくと、ストレスなく続けることが容易となるはずです。
そして慣れてきたら、午前中と寝る前に行う習慣へと繋げていきましょう。
第5章【まとめ】
いかがでしたか?
幼少期から現在に至るまで、知らない人はいないと言えるほど有名な“ストレッチ”。しかし言葉の知名度とは裏腹に知られていない“ストレッチの方法”について知るきっかけとなれば幸いです。
ストレッチを頑張っているのに中々柔軟性が改善しない理由は、あなたの「頑張り過ぎてしまう性格」にあるのかもしれません。
ストレッチを痛いと感じている時点で、あなたの身体は悲鳴を上げています。
決して他人と柔軟性を比べる必要はありません。あなたにはあなたのペースがあるのです。
最後に、効果的なストレッチを実践するための3つのポイントをおさらいしておきましょう。
①ゆっくり
②正しい姿勢で
③反動をつけない
この3つに注意しながら、苦しくない範囲で“痛気持ちいい”所で調整してくださいね。
広島のパーソナルトレーニングジムくびれ美人
山戸 勝道