筋トレ時の手首の痛みは“角度”が原因【トレーニングと私生活のコツ】

「手を付いて立ち上がると手首が痛い」

「カバンや買い物袋を抱えると手首に痛みが走る」

「手首が痛くてバーベルやダンベルトレーニングが出来ない」

 

このような悩みを抱えていませんか?

最初は違和感程度で収まっていた手首の不調。いつの間にか痛みに変わり、私生活に影響が及んでしまうこともしばしば。

 

バストアップやダイエットの為に始めた筋トレも、痛みを抱えていては満足に出来ません。ましてや荷物を持ち上げたり、手を付くという私生活にありふれた動きにまで問題が起きてしまっては、筋トレが嫌いになってしまうかもしれませんからね。

 

実際パーソナルトレーニングを始められた方で、過去に手首を痛めたことがある方も多いのは事実。フィットネスジムで無理をして痛めた方もいれば、私生活で痛めてしまう方もいます。このように、筋トレと私生活の動きは少なからず関連しているのです。

 

そこで今回は手首に痛みに悩む方の為の為に、私生活のポイントと筋トレ時の注意点(予防法)を徹底解説していきます。

 

第1章【なぜ手首が痛むのか】

一言で手首が痛むと言ってもその原因は様々。なので今回は、相談の多い“親指の付け根まわりの痛み”と“手首を反らした時の痛み”に的を絞っていきます。

デスクワークや家事、その他多くの仕事によって我々の手は酷使されていることでしょう。今現在痛みがある方は勿論の事、最近仕事量が増えていたり、トレーニングを始めたい方も予防のために知っておいて損はありません。

 

痛みの出現するケースは大きく2つ。筋肉(腱や靭帯を含む)か関節(骨・軟骨を含む)の損傷です。基本的にひねったり打撲でない限り、使いすぎ(オーバーユース)による身体からの危険信号が痛みという訳です。

 

どちらにしても使いすぎであることは間違いありませんが、1つポイントとして押さえて欲しいことがあります。それは、関節が正しい角度で使えているかどうかなのです。

 

第2章【こんな時に痛むあなたの手首】

それでは、どのような日常生活のどのようなシーンで痛みを生じるのか整理していきましょう。

 

Ⅰ.物を掴むと親指の付け根まわりが痛む

結論から言うと、物を掴む際に痛む原因は筋肉スジ(腱)が原因です。

 

デスクワークや家事全般に置いて、指先の作業は必須ですよね。タイピングでは基本のポジションは常に軽く親指を開いた状態であり、家事では“掴む”“持ち上げる”動きに親指を欠かすことは大変難しいことなのです。

 

そしていつの間にか親指の付け根に違和感を覚え、指が開かなくなってしまいます。この時問題となるのは母子球まわりの筋肉。長母指外転筋や長母指屈筋など、動きの自由度の高い親指をコントロールするこれらの筋肉は、他の筋肉に比べると負荷が掛かりやすい状況にあります。

そこで、簡単にできるチェックを行っていきましょう。

 

①肘をまっすぐ伸ばし、親指を軽く握ります。

 

②そのまま小指側に手首を軽く曲げていきます。この時親指に付け根付近に痛みを感じるようであれば、腱鞘炎である可能性が高いと言えます。

(フィンケルシュタインテスト)

 

Ⅱ. 手首を反らした時、手を付いた時に痛む

立ち上がろうと思って手を付いた瞬間、「ピリッ」と手首に痛みが走った経験のある方も多いのではないでしょうか?この場合は関節軟骨が痛みの原因となります。

 

手を付く機会は日常生活では非常に多く、痛みが出てからというもの、中々クセが抜けずについつい手を付けて痛みを繰り返してしまいがちです。

 

本来関節は負荷に耐えられるような構造をしており、勿論二足歩行の人間であっても例外ではありません。人間は生まれてから立ち上がるまでは“ハイハイ”、つまり四つ這いでの生活を送っています。

 

しかし大人になるにつれて筋力がついてくると、次第に身体は横着になります。つまり器用な手先足先だけで物事をこなすようになり、体幹の筋力は弱まってしまうのです。そして末端の筋力のみが活動してしまい、腱鞘炎や関節炎が起こりやすくなります(五十肩なども同様)。

 

このように身体の連動が薄れてしなやかな関節同士の“すべり”が出にくくなることで、まるで錆付いた歯車が引っかかるように関節に負荷が生じる結果が手首の痛みという訳です。

 

↓身体がスムーズに動かないと感じる方はこちら↓

【疑問】キネティックチェーン(運動連鎖)とは?【筋肉のしなりです】

 

手首に体重が掛かるのは、何も日常生活の動きだけではありません。筋トレの王道であるバーベルやダンベルトレーニングによって手首に重量を掛けることも痛みに繋がります。勿論腕立て伏せも例外ではありません。

 

それでは次に、手首の可動域について触れておきましょう。

 

第3章【あなたは大丈夫?手首まわりの可動域

股関節やもも裏が硬い。わざわざ出来ない開脚や前屈を友人に疲労したことがある方も多いのではないでしょうか?

 

このように他人と比べる場所は良いですが、他人とあまり比べようがない場所となると、硬いのかどうかの判断もづらいですよね。そこで手首の正しい可動域について調べていきましょう。

 

Ⅰ.手首の可動域

手首が硬いと感じる事は、私生活では比較的少ないかもしれません。いい機会なので是非チェックしてみてください。

 

このように机などに前腕(肘から先)を置き、肩まわりの力を抜いてリラックスします。そして手のひらを床に向けた状態にしましょう。

 

そして次に、手首をまっすぐ反らしていきます(背屈)。この時、60~70°あたりが正常な可動域であると言えます。

 

次は、手のひら側に曲げていきましょう(掌屈)。この時80°あたりが正常な可動域となります。

 

Ⅱ.可動域が狭まる原因は筋肉の硬さが原因

一概にすべてに該当するとは言えませんが、基本的に関節可動域低下の原因は筋肉の硬さが大きく関係しています。手首を例に取ると、手のひら側の筋肉(屈筋群)は手を反らす動き(背屈)によってストレッチが掛かります。

 

タイピングや物を掴む動作(指を曲げる動き)で手のひら側の筋肉を酷使することで、筋肉の柔軟性が低下すれば必然的に手首を反らす際のストレスも増加してしまうのです。

 

これが関節の可動域が狭まる原因という訳です。


今現在痛みが無い方でも、柔軟性が標準以下である場合は積極的にストレッチを行ったほうが良さそうです。
※ストレッチによって手首に痛みを生じる方は、ストレッチを中止して整形外科への受診を推奨します。

 

第4章【バーベル・ダンベルの正しい使い方】

ここまで手首まわりに痛みが出現する理由について解き明かしてきました。そこで今度は視点を少し変え、痛みが出ないようなトレーニング方法について解説していきます。

 

バーベルやダンベルの使用中に痛みが出るタイミングというのは、手首の過剰な背屈(手の反り)が原因と考えてよいでしょう。関節の固定されていない状態では手根骨と呼ばれる手首を構成する特定の骨に圧迫ストレスが掛かってしまいます。

 

つまり、骨同士の衝突が痛みの原因という訳ですね。この事から高負荷のトレーニング時だけでなく、ウォーミングアップを含め、比較的低負荷でのトレーニング時からパーソナルトレーナーを交えたフォームチェックを行うことで傷害リスクを下げることが出来るのです。

 

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それではバーベルトレーニングにおける手首の角度を詳しく見ていきましょう。

 

Ⅰ.バーベルの角度(ベンチプレスの場合)

女性であればバストアップ、男性でも胸板を厚くしたい方は是非取り入れたいベンチプレス。動きはとてもシンプルですが、手の幅・位置によって鍛えられる筋肉の部位は変わります。

 

今回は手首の痛みを生じさせないための方法を主にご紹介していくため、手の幅については割愛しますが、ベンチプレスやチェストプレスの正しい効かせ方や使用方法については本章の最後にリンクを添えておきますのでそちらをご参考ください。

 

バーベルのように握った状態で安定させなければならない動きの場合、手首の角度は力を伝える・重量を支えるために非常に重要な役割を担います。


このように手首を返したような角度ではバーベルを支える接地面積が広がり、一見して安定しているように見えますね。


※この写真では手首の角度がわかりやすいように、親指を外しています。(サムアップポジション)

 

この状況は先ほどご説明した手根骨への圧迫ストレスを生じさせてしまい、傷害リスクが高まります。それではこちらはどうでしょうか?

 

このように、前腕とほぼ垂直となるように手首を固定することで圧迫ストレスを軽減させ、格段に傷害リスクを下げることができます。

 

しかしこのポジションでは上手く重量を扱えないという方もいらっしゃるかもしれませんが、それでよいのです。正しい手首の角度で出来ないという事は、少なからずどこかに負荷が掛かっていたということであり、いずれ修正しなければならなかったポイントなのです。

 

また親指のポジションにも注意が必要で、余計な腕の力を抜くことを目的に親指を意図的に外してトレーニングを行っている方がいらっしゃいます(サムアップポジション)。

 

このポジションでは、慣れていなければ手首はまったく安定せず、むしろ反ってしまいがちに。もしこの持ち方をしているようであれば、今すぐやめた方が良いでしょう。

 

Ⅱ.ダンベルの角度

左右独立して動かすことができるダンベルは、バーベルよりもはるかに動きの自由度は高くなります。重りを使ったトレーニング(フリーウエイト)は重力に対して垂直に持ち上げることで負荷を掛けることができます。

 

つまり重りを持つ手首が反ってしまうと、動きがブレることで目的に筋肉に効かない、そしてケガのリスクが高まってしまうのです。

 

一見簡単に取り入れることができそうなダンベルトレーニングですが、手首まわりの安定性を意識しなければならないことは明確と言えますね。

 

バーベルと同様に、まずは手首の角度に注意が必要です。

やはり手首を返すことで手のひらの接地面積を増やし、安定させようとしがちとなります。

 

同様に、手根骨に圧迫ストレスが掛かるため改善が必要です。またダンベルの位置(基本姿勢)は必ず前腕(肘から先)に対して垂直に持たなければなりません。バーベルのように両手で支えることが出来ない分、手首だけでなく肩関節の傷害リスクも高まります。

 

それではトレーニングを行う際にはどのようにすればよいでしょうか。

親指を軽く広げ、母子球の真上にダンベルを乗せることで手首は垂直となり、関節は安定します。この位置をキープすることでダンベルプレスなどの種目を安全に行うことができるのです。

 

またバーベルと違ってダンベルに関してはもう1つ注意しなくてはならない点があります。それは横方向への角度です。

 

わかりやすく言うと手首の小指側への傾きです。

 

手首が小指側に傾いてしまう場合(尺屈)は手根骨とは別に、手関節を構成する軟骨を損傷(TFCC損傷)してしまうことがあります。前腕の骨(尺骨)と手根骨の隙間を埋めるTFCCは、圧迫ストレスに加えて捻じりストレスが加わることで損傷しやすいとされています。

※手首が小指側に傾くことで、傷害リスクが高くなります。

 

一方、こちらのように手首を水平に保つことで手首に掛かる圧力を分散させ、安全にトレーニングを行うことができます。

ただダンベルを持つだけでなく、このように手首のポジションにも注意することがトレーニングの成果を高める秘訣なのです。

 

↓バーベルやダンベルの正しいトレーニング方法はこちら↓

【どっちがオススメ?】ダンベルとバーベルの違いとは【使い分けが大切】

 

第5章【手首をリセットする簡単ストレッチ】

先ほど、ダンベルやバーベルそして荷物を握る動作、またタイピングなど指先の動きによって使われる筋肉は主に前腕の屈筋群(手のひら側)とご説明しました。そこで、簡単にできる手首まわりのストレッチをご紹介しましょう。

 

この前腕の屈筋群のストレッチを行うことで手首まわりの軸を整え、正しい手首のポジションを取りやすくする効果が期待できます。

 

まず正面に腕を伸ばし、手のひらが上となるように手首を返します。

 

そして反対側の手で指を揃えて持ち、手前に軽く引きます。そして前腕の手のひら側にストレッチ感を感じた所で15~20秒キープしましょう。

 

第6章【私生活での注意点:グーで手を付く】

ここまでトレーニングでの注意点をご紹介しましたが、私生活での注意を怠ってしまえば元も子もありません。そこで普段から気を付けるポイントを1つだけご紹介します。それは立ち上がる瞬間の手の付き方にあります。

なぜ手首が痛くなるのかはここまで何度も説明しましたので、もう大丈夫ですよね?

 

しかし、起床時や床に座ったまま家事などをしている際、“手を付かない”というのは正直の所難しいと思います。そこで“手をグ―にして付く”ことを意識してみてください。


このように手を握ることで手首は中間位で安定し、手根骨やTFCCへの圧迫ストレスを回避することができます。

 

第7章【結論:痛める前にフォームをチェック】

今回手首の痛みについて取り上げたのは、過去のトレーニングや私生活によって痛めた経験のあるお客様が多かったためです。もし今このようなことでトレーニングを満足に出来ていないのであれば、是非一度チェックしてみてくださいね。

 

そして痛みによってバーベルやダンベルの動作の修正や、ナックルウォークが出来ないようであれば整形外科への受診をしたほうが良いでしょう。筆者は広島市にあるスポーツ選手も通う整形外科にリハビリトレーナーとしての勤務経験もあるため、本コラムを通じて少しでも力になれればと思います。

 

また、より多くの方々にトレーニングを楽しんでもらうためにはパーソナルトレーニングは最適な環境です。まわりの目を気にしながら、使い方のよくわからないマシントレーニングをとりあえず使ってみる。このようにトレーニングに100%集中できない環境では、継続することは非常に難しいと言わざるを得ません。


「ダイエットで-5kgを目指したい」
「お尻の筋肉を鍛えたい」
「昔の自分に戻りたい」


きちんとプランを立て、トレーニングを通じて自分の身体と向き合うことができれば、結果は必ず伴います。

トレーニングを断念する方が1人でも少なくなるよう、正しいトレーニング方法を是非意識してみてくださいね。

 

広島のパーソナルトレーニングジムくびれ美人

山戸

 

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