【リハビリトレーナー直伝】O脚やX脚を改善させるトレーニング【姿勢のポイントあり】

痛みは誰でも経験する感覚です。辛くて嫌なその痛み、できれば経験なんてしたくないでしょう。椅子から起き上がる度、階段で移動する度に痛みが繰り返されれば当然動く意欲も無くなり、あなたの行動範囲はみるみるうちに狭くなってしまいます。

そうするとあなたの生活は激変し、様々な事が制限されてしまいます。大好きな旅行が行けなくなったり、運動不足による生活習慣病で好物が食べられなくなったりしたら嫌ですよね?

 

もはや国民病とも言える膝痛の引き金が、多くの女性にとって体型の崩れとして知られるOⅩ脚ということは知っていましたか?

O脚やⅩ脚は単なる身体的特徴という訳ではなく、股関節や太ももまわりの筋肉の柔軟性や筋力の問題だったのです。

 

そこで今回は、したいことが出来る身体になる為のストレッチやエクササイズをご紹介します。

 

第1章【膝が痛いと動きたくない】

冒頭でもお話したように、膝という1つの関節の痛みによってあなたの行動範囲が狭くなってしまいます。つまり痛みはすべての意欲を無効化してしまうのです。

 

それでは痛みにより起こり得る問題点3つ見ていきましょう。

 

1-1.筋肉の支えが無くなる

1つは筋肉量の低下です。身体を支えているのは筋肉であり、日々の活動量が減れば必然的に筋肉自体の量が低下して関節を支えられなくなり、関節の変形が進む大きな要因となります。つまり動かなければ動かないほど悪化する負のループに陥るということです。

 

1-2.体脂肪が増える

筋肉量が落ちることで関節を支えられなくなるだけでなく、基礎代謝の低下によってエネルギー消費が滞り、体脂肪が増加する可能性が高くなります。

 

血液中のコレステロール(血中を移動する脂肪)の値が大きくなることで、血管壁にダメージを与え、動脈硬化などの生活習慣病を招く原因となりかねません。

 

1-3.体型が崩れる

筋肉量が低下し、体脂肪が増加してしまうとプロポーションの低下、つまり体型の崩れから逃れることはできません。

 

その体型の崩れとは、ポッコリお腹垂れ尻太もも太りなど様々なのです。

 

第2章【O脚やX脚を放っておくと変形する?!】

若年~中年層までは、ある意味O脚やⅩ脚は身体的特徴としてとらえることもできますが、膝などの大きな関節は消耗品です。半月板は膝の内側と外側の2つに分かれており、それぞれ体重を支える重要なクッションとして日常生活のスムーズな動きを補助しています。

 

ここでソファーをイメージしてみましょう。もしあなたの家にあるソファーに、来る日も来る日も同じところばかり座っていたら、最終的にソファーはどうなってしまうのでしょうか?

そう、“座っていた所”がへこんでしまいますよね?

これと同じ状態がO脚やX脚の方の半月板に起こりうるのです。つまり関節に同じ負荷が繰り返しかかることで、見た目の変化だけにとどまらず関節の変形という魔の手が忍び寄る可能性があることを知っておかなければなりません。

 

日本は世界でも有数の関節の変形大国です。2005年の国勢調査において、変形性膝関節症を患う(もしくはそれに近い)人は1000~2000万人いると推計されています。

つまり日本全国で10人に1人は膝に問題を抱えており、尚且つ女性の割合が70%以上というデータが出ています。

 

つまり痛みや違和感を感じたら整形外科へ・・・では遅いという事です。勿論膝を捻ったりという突発的なケガは仕方ないものの、見た目の変化として現れているX脚やO脚を放っておいて良いことは1つもないのです。

 

第3章【X脚から抜け出そう!実践すべきエクササイズ】

X脚は外反膝とも呼ばれ、両膝が内側に弯曲している状態を表します。左右の膝を揃えた時に、両くるぶしの骨が接しなければX脚の傾向が強いと言えます。

 

それではさっそくエクササイズに取り掛かりましょう。

 

3-1.四股踏みストレッチ

相撲のような四股を踏む姿勢で内転筋をストレッチしていきます。X脚によって開きにくくなった股関節を大きく開くことによって、X脚の改善効果だけでなく、下半身全体の筋肉を活性化させ、足痩せにも効果を発揮します。

 

□方法

①両脚を肩幅の倍程度に開き、つま先を45°外側に向けます。そして両肘を伸ばした状態で、膝の内側に手を当てましょう。この時背筋を伸ばし、お腹に軽く力を入れておきます。

 

②腕が地面と平行となるのを目安に、上半身を捻ります。この時背筋が丸まらないように注意し、左右20秒キープしてみましょう。

 

3-2.腸腰筋ストレッチ

股関節の前面が硬くなると、反り腰を誘発してしまいます。反り腰はX脚を引き起こす要因の1つであり、X脚を改善するためにもストレッチをする必要があります。

 

□方法

①図のように片膝立ちとなり、足を前後に開きましょう。

 

②膝を付いた側の手を腰に当て、膝で地面を前方に軽く押すようにして股関節の前面をストレッチしていきます。

これを20秒3セット行いましょう。

 

 

3-3.お尻開きトレーニング(ヒップアブダクション)

お尻のシルエットを形作るために、お尻の外側にある中殿筋を鍛えることは大切です。しかしそれだけでなく、X脚によって内向きとなった膝の歪みを改善するためにも必要な筋肉となります。

 

□方法

①横向きになり、背筋を伸ばした状態のまま図のように両膝を曲げましょう。そして上側の足をまっすぐ伸ばします。

 

 

②お腹の力を抜かないように注意しながら、膝が曲がらないように注意しながら伸ばした足を真上に引き上げていきます。

力を抜かないようにゆっくりと地面と足が平行になるまで降ろしていきます。

これを左右15回3セット行いましょう。

※足関節は背屈(つま先を上げた状態)させ、正面もしくは少し地面側に向けておくことで、膝が曲がりにくくなり中殿筋を効果的に鍛えることができます。

 

3-4.シェルエクササイズ

股関節を開く外旋筋である梨状筋を鍛えるトレーニングの1つで、座り仕事などによって衰えやすいため積極的に行いたいメニューと言えます。

(-.お尻開きトレーニング)と同様に、X脚によって内向きとなった膝の歪みを改善することを目的としています。

 

□方法(右足の場合)

①左を下にした側臥位になり、両膝を揃えて股関節を90°よりやや浅めに曲げます。(約80°)

 

②お腹に軽く力を入れたまま背筋を伸ばし、上半身がブレたり骨盤が開かないよう注意しながら、右膝を大きくゆっくり開いていきます。これを左右10回3セット行いましょう

 

3-5.もも裏引き締めヒップリフト

X脚では膝が伸びきった(いわゆる過伸展)状態であることが多く、もも裏の代表的筋肉であるハムストリングは緩んでしまいます。そこでハムストリングを引き締めることで膝の過伸展を解消し、膝への負担を軽減させることを目的としています。

 

□方法

①仰向けとなり膝を曲げ、膝を90°ほど曲げて足をつけておきます。

 

②足を腰幅程度開き、足裏全体で地面を押すようにお尻を持ち上げます。この時、腰を反らないように注意しながらお尻を上げ、もも裏を意識していきましょう。

これを15回3セット行いましょう。

 

3-6.ブルガリアンスクワット

X脚の場合は反り腰伴うケースが多く、通常のスクワットでは過剰な腰の反り(腰椎の伸展)を助長させる場合があるため、片脚ずつスクワットトレーニングを行っていきます。

またX脚では膝が内側に入りやすいため、動作一つ一つの意識もしやすくなります。

 

□方法

①ベンチや膝ほどの高さの台を用いて、後ろ側の足を乗せます。(出来ればつま先は立てる)

そして手を頭の後ろに組んで股関節・膝・つま先が正面を向くように揃えましょう。

 

②お尻を後ろに引いて下げるようにして上体を少し前傾させます。この時背筋が丸まらないように注意し、ゆっくり腰を落としていきます。これを10回3セット目安に行いましょう。

体重は常に踵と母趾球を結んだ線の間に掛けるイメージを持つことが大切です。

※つま先へ体重を掛けてしまうとお尻やもも裏ではなく、踏ん張ることによって大腿四頭筋にばかり力が入ってしまうためです。

※膝が前や内側に入ると、大殿筋ではなく大腿四頭筋に負荷がかかってしまうため注意しましょう。

 

第4章【膝痛はO脚のせいかも?O脚を改善するエクササイズ】

O脚は内反膝とも言われており、両膝が外側に広がった状態を言います。その弯曲がO型を示しており、両くるぶしを揃えると左右の膝をつけることが出来ません。

 

開いてしまった膝まわりを締める為にも、まずは股関節まわりの柔軟性から改善する必要があるのです。

 

4-1.梨状筋ストレッチ

股関節の深部にある梨状筋をストレッチしていきます。O脚では膝が外側に開いており、それと同時に股関節を外側に開く筋肉は硬くなってしまいます。その代表的な筋肉がこの梨状筋なのです。また同時にストレスのかかりやすい股関節の前側の筋肉(大腿筋膜張筋)もストレッチすることができます。

 

□方法(右側の場合)

①立てた右膝を内側に倒し、左足を右膝の外側にかけます。

 

 

②左足を使って右膝を地面に近づけるように押していきます。また上半身を図のように捻ると、ストレッチ効果が高まります。これを左右20秒ずつキープしましょう。

※膝や股関節に痛みが生じる場合は行わないように注意してください。

 

4-2.ハムストリングストレッチ (内側)

O脚の要因の1つとして内股があります。内股のようにつま先を内側に向けるような動きは、太もも裏にあるハムストリングの内側の柔軟性低下によって増強します。つまり、O脚改善の為に伸ばすべき筋肉の1つです。

タオルを用いて行うストレッチは誰でも簡単に行うことができるので、腰や膝に不安がある方でも安心して行うことができます。

 

□方法(右側の場合)

①足裏にチューブを掛け、膝が浮いたり腰が捻れたりしないよう注意しましょう。

 

②ゆっくり足を開き、もも裏の内側にストレッチがしっかり出たところで20秒キープします。左右3セットずつ行いましょう。

 

4-3.大腿筋膜張筋ほぐし

大腿筋膜張筋とは股関節の前面から膝関節の外側に付着する筋肉と靭帯の構造で、O脚に特徴的な内股姿勢によって大腿筋膜張筋は過度にストレスが掛かります。

 

つまり太ももの外側が張っていると、内股姿勢が繰り返されてO脚が助長されてしまうのです。

 

□方法(右側の場合)

①ストレッチポールの上に右太ももの付け根の外側がくるようにし、両腕と右足で体を支えます。

 

②右足を遠くへ伸ばすようにストレッチポールを転がしていきます。左右30ほど続けましょう。

 

ストレッチポールが無い場合は、お風呂に浸かりながら太ももの外側をほぐすのも効果的ですので、是非チャレンジしてみてくださいね。

 

4-4.内もも引き締めトレーニング(ヒップアダクション)

開いた膝を引き寄せる効果のある筋肉は内転筋です。内転筋を引き締めることで、直接的に開いてしまった股関節を締める効果が期待できます。

 

□方法(右側の場合)

①右を下にした横向きになり、左足を股関節から90°に曲げます。この時、膝に図のようなボールやクッションを挟むと体が安定します。

※ボールやクッションがない状態だと、腰が反ったり、上側の太ももの外側に負荷がかかって逆に太く見えてしまうため注意しましょう。

 

②左足は頭からつま先まで一直線になるようにまっすぐ伸ばし、天井に向かって足を引き上げていきます。これを左右10回3セット行いましょう。

※この時反動は使わず、ゆっくり上下させるのがポイントです。

 

4-5.かかと上げトレーニング(カーフレイズ)

立った状態で行うトレーニングなので、すき間時間で行うことができます。

かかとを上げることでふくらはぎを中心に引き締めるトレーニングですが、膝にボールやクッションを挟みながら行うことで内ももを同時に引き締められ、O脚の改善に効果的です。

 

□方法

①壁に背中をつけて立ち、1歩前に出ます。そして肩甲骨まわりだけを壁につけ、腰が反らないように腹筋に軽く力を入れる意識を持ちながらお腹に手を置きましょう。

 

②足の親指付け根である母趾球で地面を押しようにかかとをゆっくり浮かしていきます。ふくらはぎの内側に力が入るのを意識し、最後まで蹴り上げます。かかとを地面に付けないように、ゆっくりと15~20回を3セット繰り返していきましょう。

※かかとから頭にかけて一直線になるように意識しましょう。

 

4-6.フロントランジ

足を前に踏み込んで前側のお尻を鍛えることができます。膝が外側に抜けないように意識することで、普段の歩く姿勢からO脚を改善する効果が期待できます。

 

□方法

①両手を耳に当てるようにし、背筋を伸ばしてまっすぐ立ちましょう。

 

②片足を大きく前に踏み出し、踵から地面につけます。そして上半身を前傾させ、頭から後ろ足までを一直線になるようにしましょう。

※この時、股関節・膝・足関節が一直線になるように意識し、膝が外側に抜けないように注意しましょう。

 

③お腹に軽く力を入れたまま、前に踏み出した足で地面を蹴るようにして身体を元の位置まで戻していきます。

これを10回3セット行いましょう。(反対側も同様)

 

この他にも、下半身を引き締めるランジトレーニングをご紹介しております。

 

第5章【膝だけじゃない?姿勢が引き起こす膝の捻れ】

本コラムでは膝の向きを中心にX脚やO脚を解説し、それぞれのデメリットをご紹介しました。しかし人体は奥が深く、膝の向きを変化させる原因は地面につけた足だけの問題ではないのです。近年では骨盤調整を目的としたヨガやピラティスが流行っているように、骨盤への関心は高まる一方です。そこで、骨盤の変化(前傾と後傾)に伴う足のシルエット変化について少し触れていきましょう。

 

まずは骨盤の後傾からみていきましょう。骨盤の後傾とは図のように腰を曲げたような姿勢となるため“おヘソ”が自然と前に突き出たような姿勢となります。この状態では股関節はいわゆる「開いた」状態となり、膝が外へ向いてしまいます。そして股関節と膝が伸ばしにくくなり、ガニ股姿勢へと変化してしまうのです。図で見てみると、膝の内側に対して負荷が集中してしまうことがイメージできるかと思います。

つまり骨盤の後傾を伴うような猫背の肩は、普通に歩くだけでも膝の内側ばかりに負荷が集中し、半月板の損傷だけでなく骨自体の変形へと繋がるということです。

 

次に骨盤の前傾(いわゆる反り腰)についてみていきましょう。

図のように、腰が反った状態ではお尻が後方に突き出たような姿勢となります。この場合、重心と呼ばれる体重の掛かる位置が前方に移動し、身体全体が前方につんのめる様な姿勢となります。これにより膝は伸びきってしまい、それに伴って膝は内側へ入った状態へと変化してしまうのです。

 

この状態では膝が伸びきった状態(過伸展)で身体を支えなければならず、筋肉を上手く使えずに関節に負担が掛かり、半月板や靭帯を痛めやすくなるのです。

 

第6章【まとめ】

膝を直接何かにぶつけたりしない限り、痛みが出るのは理由があります。

今回はO脚とX脚を中心にご紹介しましたが、膝という大きな関節が上手く使えなければそれだけ大きな負荷が集中し、関節の変形へと繋がります。

 

痛みが出てから対策するのではなく、今からカラダを変えてみませんか?

歪みの原因となる筋肉を整え、トレーニングをすることが出来ればあなたの生活は一変し、より良いカラダに生まれ変わることができるでしょう。

 

くびれ美人パーソナルトレーナー

山戸